岡山ブルーライン、一本松展望園から次の経由地である渋川海岸をセットしてるとウィンドガラスを叩くお爺さんが居た。俺はふと見覚えない老人を見て(もしかしたら俺のblogを見てる人かなぁ?)などと考えながら運転席の窓を下ろした。
「この車はよー走りますか?」お爺さん
『ボチボチ、速いですよー!』俺
「調子はええですか??」
『つい最近、ミッションオイル漏れを修理したとこです。』
「私はM5乗ってますけぇー」ちょっと自慢気なそぶりで人のよさそうなお爺さんが笑う。
「こないだはレクサスLS450hってのに乗せてもらってブレーキ踏んだら車がよれて怖かったです。やっぱりBMWはええなぁー思いました。」
『・・・・??』そらアンタ言いすぎちゃうかなんて頭の中で思いつつ大した御仁そうだ。
『おじさん、金持ちやなぁ~!!』M5に乗ってる様には見えない方なので少しびっくり!
『F10ですか?結構、見掛けますよ~!!』
「いえ、私のはV10のM5です。もう、15万キロ走りました。今のも乗せてもらいましたけどターボが付いてて最初からトルクがあっておもしろくありません。」
『・・・俺のもターボ付いてますよ!』参ったなぁ~と思いつつV10M5にはさすがにお手上げだわと苦笑い。
「今日はこれに乗って来ました。」と俺の横に停めてあった車を指した。おもしろくなって来たので車から下りた。
この赤のコペンにのってるのか!俺は停めてある車を見て女性か若い子が乗ってるのかと思っていたから。アルミ、レカロとかなり手が入った車だ。
『おじさんのセカンドカーですか?』俺が尋ねるとお爺さんはニコニコ笑いながら
「4台持ってますから。117クーペ、ベンツ、M5。それとこの車がもう終るって聞いてカッコいいから買いました。」
『おじさん、ホンマに金持ちやろ~!!』
「いえいえ、金持ち違います。M5は人生、最後の車やと思って買いました。」
最後と言いつつ、コペンも買っとるがなおじさん!と突っ込みたかったがやめといた。
「M5は1000万超えますから注文してから色々考えて辞めようかと思ったけど嫁さんが癌になって死んでしもうたからやけくそになって買ったの!」笑
お話好きの大先輩の話を暫く聞きながら相手をした。俺も時折、話をするのだけどほとんど聞いてくれなくって一方的に喋ってるって感じだけどいかにも人柄のいい可愛い、車好きのお爺さんがおもしろかったから。
「M5買って専用ガレージ造るのに500万掛りましたけぇー」
「私は子供も居てないし養子で今は母親と暮らしとるの。そろそろ介護施設入れよう思っとりますが・・・。こないだ施設の話をしてたら私が入ると思ってた人がおって!!」笑
『奥さんのお母さんなんやねぇー。おじさんいくつ?』
「71歳になりますけぇー」
何だかこの先のお爺さんのことを考えるとちょっと寂しいだろうなぁー。って思った。
で、思わず俺のお父さんになってください!なんてジョークを頭の中で考えたが魂胆見え見えで自分でも恥ずかしいギャグなので辞めといた(苦笑)
車好き同志、話が弾んだ。117クーペの話、ベンツの話、M5の話、コペンの話、BMWの話。お爺さんの目が輝いてた。おじさん、くるまにあやなぁー(^^)俺の車を見ながら
「私のコペンはBBSを嵌めてるの。あなたのもいいホイールを履かしてはるねぇ」
『NEEZって言うメーカです。』
フロントガラスのキズを爪で確認しながら
「あんた、スピードあんまり出してなかろう?!」
『そうでもないよー』苦笑
「私は見たら分かる。私なんか高速乗ったら〇00kは必ず出すけぇー、もうそら夕方なんかキズがひどいから前が見えんけーのぉ~。」
「高速が千円時はよかったよ。とっとことっとこ行ったけぇー。だから距離が伸びたの!」
しゃがみこんで俺の車を見ながら
「この車は新しいのぉー。初めから二本マフラー付いとるの?」
『ええ』
「335か・・・・」どうやらあんまりBMWの車種に詳しくなさそうだ。
「M5はおもしれぇ~よ~。」
『今度のF10には乗換えないの?』
「V10がええけぇー!どうせ売ったら安いやろから・・・大事に乗ってる車やから最後まで乗るの。大事に乗ってる車を知らん奴に乗られるくらいならずーっと乗れる間、乗りゃ~ええがぁ~」
そりゃ、4台持って117クーペなんてどんだけ~って感じだものね。(笑)
しかし、その気持ちは共感できるよ。おじさん(^^)なんかええ時にええ話を聞けたかもなぁーと思った。
『おじさん、目とか大丈夫?動体視力とか落ち取るでしょう!?』
「それが全然、大丈夫なの。私は昔、新幹線の運転士でしたけぇー。スピード慣れしてるせいか目は大丈夫です。」
なるほど~!!M5でもokな感じだねぇ~!
『おじさん、俺 新幹線関係の仕事にも携わってたよ~。親戚にもJR西の人居てるねん。』
「だから、運転大丈夫なんです」
アカン、俺の話聞いてないしーーーぃ(苦笑)
『しかし、若い車乗ってるねぇ~!!』
「コーナーなんかスーッと曲がって行って気持ちええよー!」楽しそうに話すお爺さん。しかし、素敵だなぁーと思いつつ子供の様にはしゃぐお爺さんを見てて毎日の暮らしを考えると少し複雑な思いだった。連れ合いに先立たれてきっと心に穴が開いたようだから。その気持ちが俺には痛いほど理解できたから。
『おじさん、また会おうや!俺見掛けたら声掛けてな!!』
「よーこっちは来なさるんか?私は毎日、ここ来てますけぇー!!」
多分、当分来ないんだけどねぇ~(爆!)と思いつつ。。
『ほな、おじさん。俺、鷲羽山行って来るから』
「あそこは最近、オープンカーの集会をやっとろー!?」
「ほな、気をつけて」
さっそうと車を走らせて行った。
おじさんの目は光輝いてたからまだまだ長生きされるだろう。
ただ、長生きすればするほどきっと辛くなるだろうなぁーと考えながら
出来たら息子にしてくれませんか?みたいなさっき思いついた悪いギャグを
やっぱり言ってみるか
なーんて考えてた。
くるまにあ、きっと死ぬまで車まにあ。
俺とおじさんが話してるときに大阪ナンバーの紺色のコペンが入って来てその車から下りた女性二人が俺とおじさんに挨拶してくれた。遠くで不思議そうに見てたけど親子かと思ってたのかなぁー。。。
お父さんと呼ばせてくださぁ~~~い!!
それにしても、駐車場を出るときにフェラーリ2台、1台は458が停まってたし
M5のお爺さんの話といい、どうりで山陽道、中国道が取り締まりが厳しいのを痛感。
ここらの人、物凄い車に乗って物凄く飛ばすんだなぁ。。。(苦笑)
きっと、俺も死ぬまでくるまにあやろうなぁ~